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庭物語「ガレキの楽園」

2009年03月09日 19:19

無事に再演も終了いたしました。

初回公演
2・22 四葉「庭師の競演2」中 22:00~

再演
3・7  四葉「千姫フリマ」後 24:00~


2回の公演で、延べ150人くらいの方に見ていただきました。
本当に、ありがとうございました^^


それでは、見れなかった方のために
これから文章にて内容をご披露したいと思います。
庭師の競演時、SSの紹介を禁止いたしましたが、もう公開終わりましたので
もし載せたい方がおりましたら大丈夫ですので載せてください^^

ようこそ、幻の庭へ




*************************************



ユキオミ庭プレゼンツ
庭物語「ガレキの楽園」


気がついたら、夕暮れの雨の中、廃墟に自分は立っていた。

そこには、一匹の犬と遊ぶ少女の姿があった。

少女は、振り返り私に気がつくと、こちらに歩み寄ってきた。


「あっれー、貴方、ワタシが見えるの?
こんなところに、この幻の庭に紛れ込んでくるなんてね。」

黒い巻き毛の少女だ。
なんとなく、フシギな雰囲気の、白いオーラを纏った少女。


「ここは、時間の狭間なのよ。ワタシは、ただの思念体だし。」


私はどうやら、時間の彷徨い人になってしまったらしい。
少女は話を続ける。

「ワタシはね、この庭に「棲んでる」の。
ここから離れられない・・・・大事な場所だから。」



「え、この庭で、何があったのか知りたい?
ふふっ、そうね、アナタにだったら見せてあげても・・・いいかもね。」


少女はそういうと、先ほどの犬のところへと戻り
こうつぶやいた。

あの日の話。

「そう、この子がこの庭に迷い込んできたときの事よ。」



私はこの幻の庭の「傍観者」となっていた。

迷い犬を探して

一人の者が、ここにやってきた。
「クドリャフカ!
どこにいったんだ?クドリャフカーっ」

見たところ、研究者のようであった。

「・・・こんな雨の中、どこに行ってしまったんだ。
・・・ここだと、思ったんだが・・・。」

研究者はきょろきょろと廃墟を見回し、何かを探しているようだった。

「ここはあいつと私の・・・・・いや、よそう。探すのが先だな。」

そういうと、廃墟に座る一人の少女に気がついた。
す、と近づいていき、彼女に声をかける。

犬を知らないか?

「失礼。キミ、このあたりで犬を見かけなかったかい?」


少女は答えない。

「犬だ。名はクドリャフカという。ライカ犬だ。
・・・見かけていないのか?」

研究者は、怪訝そうに話を続けた。

「あなたの、飼い犬?」

少女は一言つぶやくと席を立ち、研究者の横を通り過ぎ、廃墟の中にあるピアノに腰掛けた。
研究者は少女のそばに寄っていく。


話を聞いてくれ

「そう、だな・・・。
飼い犬というか、まぁ・・・そんなようなものだ。
あいつは優秀な犬なんだ。」

少女は、ピアノをぽーん、と鳴らして答えた。

「優秀・・・?そんな優秀な犬が、何故逃げたりしたのかしらねぇ?」

「うむ、今まで我々とあいつは上手くやってきていたんだがな・・・。」

ふ、と少女は笑う。
「生活が嫌になってしまったんじゃないの?」

研究者は、少しいらだったように答えた。
「それでも、逃げられては困る。
あいつは「計画」に必要な犬だ。選ばれし、優秀な犬なのだから。」

少女はその言い方が触ったのか、むっと怒りを露にして答えた。

「個人の自由で飼い犬に不自由を与えているの?」

「違う。君は何も知らないから・・・・・」
あわてて研究者の返事が来る。

「・・・そうだな、私たちが何をしているかをまず話さなくてはならないな。」

そういうと、近くの廃材に研究者は腰掛けて、話し出した。

我々の研究


「我々の、・・・我々の研究チームでしていること。
クドリャフカ。あいつもまたチームの一員だ。」

少女は振り返って話を聞いている。

「我々のしていること・・・それは、「宇宙に出る」ということだ。
名を【スプートニク計画】という。聞いたことはないだろうか?
今は2号の打ち上げ計画の真っ最中だ。」

「まぁ、本来突発的に決まった出来事で・・・
上の者が勝手に見栄を張って・・・

生命維持装置など・・・未だに開発されていないというのに・・・・

ごにょごにょ、いや、失言であった。」

片道切符のクルー

研究者の熱弁は続く。

「あいつは、クドリャフカは、その栄誉ある宇宙へと行く第一号クルーとして
選ばれし重要な役割を持った犬なのだ。
そのためにいくつもの訓練をした。」

「ひどく不自由な思いもさせたであろうが、
あいつはそんな中で訓練を成功させたファイナリストの一員だ。
そしてこの度、めでたくあいつがクルーに選ばれた。」

「なんとしてでもあいつには、宇宙に出てもらわねばならない。
我々の夢なのだ、人類初の宇宙で軌道衛星に乗ってもらうのだ。」


いつの間にか立ち上がり、希望を熱意にこめて熱弁していた。

少女も圧倒され、つぶやいた。
「・・・そう・・・・。それは、すばらしいことね。」

わかってもらえたか


「そうであろう、判ってもらえたか!

あいつが背負っているのは、人類の夢だ。

我々の誇りだ!未来の希望なんだ!!!」


少女は驚いたように、つぶやいた。

「・・・そう。・・・・誇り・・・・未来の希望・・・・。」

そして、ゆっくりと後ろを向くと、

「・・・・・・・判ったわ。・・・・・戻るわ。」

「・・・・・・・え?」


ふと、廃墟の入り口のあたりで声がした。
「わん!わん!」


帰ろう

「クドリャフカ!
そんなところにいたのか、心配したぞ。」

研究者はぐりぐりとその犬を撫で、笑顔を見せた。

「さぁ、帰ろうな!」

「わんわん!」
犬もうれしそうに研究者に寄り添っていく。

「よーしよし、さぁ、いこうな。」

そして、二人(一人と一匹?)は廃墟を後にしていった。


あの子は私。


空が宇宙へと変わる。

残された少女は、ゆっくりと語りだす。

「そう、あのコ・・・・クドリャフカは私の生前の姿。」

「ワタシは、気づいてた。・・・その旅からは、決して戻ることが出来ないと。
現在の技術で、大気圏から帰還する術はない。
ワタシははじめから、片道切符のクルーだったのよ。」


「・・・そして、クドリャフカを乗せたスプートニク2号が打ち上げられる日がきた。
3日前から準備がされ、密閉されたカプセルで、食べ物はゼリーだけだった。
あの人は・・・あの人たちは、調整に失敗したと、
再確認をと言って、ワタシの乗ったカプセルを開かせた。」


「・・・・それは嘘だった。
ワタシに・・・最後の水を飲ませてくれと、上の人に頼むための・・・優しい嘘。」

あの人の役に


「・・・ワタシは皆の希望を背負っているって判って、嬉しかったから。
・・・・少しでも、皆の役に立ちたいって、思った。」


くるしい


「そこから先は、覚えてないわ。
苦しくて、ふらふらして、熱かった気がするけど・・・・・・・」


「あの人たちの、役に立てたかしら。
そう思いながら、気づいたら思念だけここに・・・ここで、空を見ていたわ。」



「・・・そう、ここは・・・・・・・思い出の場所。
だからこそきっと、ここに戻ってきた。」

約束の日

少し若い研究者と、一匹の犬がやってくる。

「よし、クドリャフカ、ここでしばし休憩していいぞ!」

休憩中の・・・

「疲れただろう。いつも狭いところでじっとする訓練ばかりだもんな!」

「わんっ」

「よーし、いつかお前がクルーに選ばれる日がきたらいいなぁ!」

「くーん、くーん」

「おう、そうだな、もちろんそのときは私も一緒だ!」

約束だぞ。

「共に宇宙へ行くんだからな!約束だぞ!」

「わんっ!」

そんな光景を、少女は眺めていた。
これは彼女の過去だろうか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ふと、世界がゆらめいた。

研究者の姿がゆら、と揺れ、世界が歪む。

「・・・・・・・・・・・・・・約、・・・・・・・束・・・・・。」


研究者がどさ、と倒れる。


「!!!!!」

交錯する時間

少女は驚いて、ばっと研究者に近寄った。

研究者は、うっすらと目をあけ、少女を見上げる。

「・・・あぁ、クド・・・・あのときの・・・」


「君、だったんだな・・・・・なんだ・・・・」


「・・・約束を守れなかった私を・・・怒りに、きたのか・・・」


少女は、ふるふると首を振る。

再び出会った、精神体として

震える声で、搾り出すように言った。
「何よ、あんた・・・そんな姿で・・・・・・
・・・・あんたももう・・・死んでるじゃないの・・・・」

研究者は、穏やかに微笑んで、ゆっくりと口を開いた。

「あれからもう・・・、数十年が過ぎている・・・
仕方ないさ・・・」

「計画は・・・・無事・・・成功したよ・・・、君、の・・・・おかげだ・・・
まもなく・・・人類も・・・・、宇宙に・・・飛び立つことが出来るだろう・・・。」

少女は泣きそうになりながら研究者を見つめている。

「・・・心残りとすれば・・・、君・・・と・・、共に・・・往けなかったことだ・・・
約束・・・・、した・・・・のにな・・・。」

「君と・・・共に・・・乗せてやれたのは・・・・・、
たった・・・数日分の、酸素と・・・、僅かなゼリー・・・だけ・・・だ・・・・。」


それを聞いた少女は、涙を溜めた目で、だけどしっかりと研究者を見つめて
首を横に振った。
「・・・・・・・・いいえ、それは違うわ。」

研究者は、一瞬目を見開いた。

ワタシは一人じゃなかった

「ワタシのそばには、いつもあんたたちの強い想いがあった。
あんたたちの強い願いと共に、ワタシは行ったのよ。」

ふと、研究者の目からも光が零れ落ちた。
「・・・・そうか・・・。・・・ありがとう・・・。」

少女は、す、っと立つと、涙をこぼれさせないように振り返って、遠くを見た。
研究者は目を閉じ、ゆっくりと口を開いた。

「・・・・・・・・・ここはいつも、夕焼けが・・・綺麗だな・・・・。」

「うん。綺麗。」

少女は振り返らない。

「・・・・そう・・・・だな・・・。
次・・・・我々が・・・目を、覚ます頃・・・には・・・・
人類は・・・、もっと・・・・身近に、宇宙に・・・進出して・・・いる、だろう・・・。」

「そうね、ワタシも次は人間になりたいわ。」

研究者はうっすらと目を開けて、少女を見上げる。
少女はそちらを見ていない。

「そう・・・だな・・・、そうしたら、共に・・・・・今度こそ・・・、一緒に・・・。」


「・・・・・・・・一緒に宇宙へ・・・行こう。」


少女は一瞬びくっとして、振り返った。
研究者を見下ろすと、涙がぼろぼろと零れてくる。

研究者は、穏やかに微笑んで少女を見上げている。

少女は、大粒の涙をこぼしながら、精一杯の笑顔で答えた。

「・・・・・・・・・うん。」

つかの間の逢瀬

きらきらとした光の中、研究者の姿は消えた。

魂が、浄化されたのだろうか。

少女は、空を見上げ、それから
忘れていたであろう私のほうを向いた。

「・・・・・・・・ここは、時間の狭間、ガレキの楽園。
たいせつな、思い出の場所。」


そして、何かを思い出したように・・・・

「・・・・・・・あ!!」

「・・・・ワタシ、そろそろ行かなくちゃ!」

そういうと、にっこりと微笑んで、はっきりとこう言った。

行かなくちゃ

「・・・・・・・・あの人が、待ってるから・・・!」


「アナタにも、また、現実の世界で、会ってあげてもいいわよ!」




***************************************

気がつくと、庭は消えていた。

私が見た今の光景は、なんだったのであろう。


幻・・・・?


いや、幻であっても構わない。


私は、彼女とあの研究者が、同じ時代に・・・・

宇宙に気軽に行ける時代へ生まれ変わり、ともに宇宙を目指してくれることを

願ってやまないのである。




ユキオミ庭プレゼンツ
庭物語「ガレキの楽園」     終幕


あとがきはこちらから☆


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