--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アイノスフィア エピローグ

2009年09月18日 04:38

アキを連れて(連れられて?)アクロニアに帰ってきた。

アキは、まだ出会ったばかりなのに、ほんとうに私に懐いてる。
まるで、あの子みたいだ。

こんなあったかい存在がちょっとだけくすぐったくて恥ずかしくて、
オミ姉様の前では突っぱねてしまった。
そのあとシスコン麻呂のカシエルに会ったけど、いつもみたく喧嘩になるかも!って
思ったけど、アキが止めてくれた。

アキは本当に可愛い。
ころころ懐いてきて、でも、あの子より、積極的だ。



帰ってきて、私は、確信したことがある。
それは、


『オミ姉様も、雪姉も、あの子の・・・リルムの行方を知っている』ということだ。

姉様たちには、リルムは見えていなかった。
・・・ように感じた。

だけど、今考えると、飛び起きた私に雪姉が言った台詞は
間違いなく「リルムの行方を知っている」ものだったと思う。


ふと横を見ると、アキが心配そうに私を見つめている。

そうだ、私には、もう、アキが居る。



真実を、確かめに行こう。



私はアキの手をとり、姉様たちの下へ向かった。


「雪弥ちゃん」


午後の日差しの中、二人とも、お茶を飲んでいたようだ。

「その子は・・・新しい『盾』さんだったっけ(笑)」

オミ姉様がくすくす笑う。

「・・・姉様、この子は、アキ。私の・・・」

ちょっとためらった。でも、正直に今の気持ちで紹介することにした。

「私の、恩人。で、とても、大事。これからよろしく。」

不安そうに見ていたアキが、ぱっと笑顔になる。
あわせて、姉様たちも笑顔になった。

「はい、うちの雪弥ちゃんをよろしくね。」

でも、今はこんななごやかな会話をしにきたんじゃない。
私は真剣に二人を見つめ、はっきりと聞いた。

「姉様。リルムは、どこに行ったの?」

「・・・・・!!!!!」

姉様たちは、また、一瞬ぽかんとした。
だけど、今度は、寂しそうな、困ったような顔になった。
私とアキは、あいてる椅子に座って、改めて姉様たちと向き合った。


先に口を開いたのは、オミ姉様だった。

「雪弥ちゃんは、どこでリルムちゃんと、知り合ったの?」

フシギなことを聞く。
続いて雪姉が言った。

「一緒に遊んでるところなんか、見たことなかったよね。」


そんな、リルムは、物心ついたときから、私と一緒に遊んでた。
私は、あの子と居た時間を、二人に話した。
物心ついたときから一緒だった。
いつだって一緒に遊んだし、戦い方もリルムが教えてくれた。
頭をなでてくれて、私が転職した日も、抱きしめてくれた。
沢山の思い出を、次から次へと話した。


「そうだったの・・・・・・」

オミ姉様が悲しそうに私を見る。
一体、リルムはいつ、どうなってしまったんだろう。
それだけが、心配で仕方がない。
しかし、雪姉がぽつんと語る。

「私らとしてはさ、雪弥がリルムと出会っている時点でオドロキなんだけどな。」


「・・・・・・・!?」


どういうことだろう。


「雪弥、あんたはリルムと『出会えるはずがない』んだ。」

「!?!?」

「だってな、あんたが『生まれるため』に、リルムは『消えた』んだから。」


世界が揺らいだような気がした。
記憶があふれかえる。

目の前が暗くなって、何かに吸い込まれていく感じがした。








・・・・・あれ、ここは・・・・


記憶の中の、リルムとの・・・・思い出?


まだ幼い私が目の前に立ってる。
ウッドスタッフを持って、どこかへ走っていくみたい・・・・・・・


・・・・・・・・・・リルムだ!!
幼い私は、リルムに会いにきたんだ。
そこには、記憶のままのリルムがいる。
懐かしい、ああ、愛しい・・・・・・・・・・!!!!!

リルムは、LV35のアーチャーの職服を着ている。
うんうん、そうだ、リルムだ。
確かに居たよ、会ってたよ!


幼い私がリルムに飛びついたところで、世界はぐにゃりとゆがみ、
『次の場面』へと写っていた。


今度の私は、転職祝いを持っている。


ああ、今度は転職したのをリルムに教えに行くんだ・・・
私は自分がどれだけあの子にべったりだったのかを思い知る。


「リルム、私転職したよー!」

「おめでとう!雪弥ちゃん!」

仲睦まじく抱き合うあの日の二人。


だけど、私は、気づいてしまった。

そうだ。


リルムは。


ずっと、レベルも上がらず。


装備も、そのままで。


一緒に狩りもしたし、一緒にクエストもしたし、一緒に買い物もしたのに、


私が成長しても、


リルムは、


変わらない姿のままだったんだ。




気がつくと、幼い私を抱きしめているはずのリルムが、『わたし』を見てる。
記憶をたどる存在の、私を、見てる。


「リ・・・・ルム・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・」


悲しそうな笑顔で、リルムは『わたし』に呟いた。
口が動いただけだったけど、リルムが言ってることは全部判った。
そして、最後に、『わたし』にも聞こえない声で、
リルムは涙を流しながら、それでも、笑顔で言ったんだ。


『 ご め ん ね 』     って。




不意に、意識が戻った。

目の前には、姉様二人。
隣には、真剣に話を聞いているアキ。

そうだったんだ。

リルムは、既に、この世界には居ることが出来ない存在だった。
消滅のとき、意識だけがこの世界に残り。
私の生活の、色んなところに、リルムはいつでも居た。

私が、もう・・・一人でも居られるって、もう大丈夫って、
リルムは、自分の想いの全てを私につかって、私に力や、心や、狩り方、愛し方
いろんなことを教えて、
消えていったんだ。

ずっと一緒に、居れなくてごめんね。

私は、リルムの分まで、生きなきゃいけないんだ。





リルムの意識が生きていたことは、姉様たちにとっては信じがたい事実らしい。
私とそんなに居たなら、なぜ自分たちに一度も見えなかったのかと不思議がっているようだった。


仕方ない。
だって、リルムは私にとって特別で、私もあの子にとって特別だったのだから。


感傷に浸っていると、
袖のレースを引っ張る手があった。

顔を上げてそちらを見る。


アキ。


見たこともない、悲しそうな顔で私を見つめている。


「雪弥ちゃん。私は・・・まだ、出会ったばかりだけど」

「アキ・・・」

「私は、幻じゃないから。消えないし、ずっと一緒だから。」


ああそうか。
この子はこの子なりに、私を大事に思ってくれているんだ・・・・・。


何かが私の中ではじけた。

不意に、アキの手をとって、席を立つ。

「オミ姉様、雪姉、ありがと!!出かけてくる!!」

「え?きゅ、急だね!?」

「さ、行くよ、アキ」

「え、あ、あ、おじゃましましたあ~~~・・・・?」


ちょっと強引に、手を引っ張って家を出る。
ああ、リルムの気配がまだある。
きっとまだ、近くに居るんだね。

「ゆ、雪弥ちゃ~~ん・・・?」
アキが不思議そうに私を覗き込む。

私は、天に向かって思いっきり叫んだ。



「バイバイ、リルム!!!!」



不意に、ざあっと風が吹いた。
私の髪やスカートを巻き上げ・・・・通り過ぎていく。

アキがびっくりして、きょとんとしてる。

「・・・・・・・ふふふふふっ」

そんなアキを、笑って小突いてやる。

「び、びっくりしたよ~~!突然どうしたの?」


私は、笑顔でアキの手を引く。


「思い出、作りに行こう!!」


一瞬きょとんとしたアキだったけど、私の言わんとしていることが伝わったみたいだ。
すぐに笑顔になって、私の隣に並んだ。

「うん!!」




もう、リルムの気配はない。

だけど、私は、進んでいくんだ。


アキと。




一緒に。









<アイノスフィア エピローグ 完>



→ 本当に、たった一人だけ、消してしまったキャラが居ます。
  それが、「リルム」ちゃんでした。
  そのあいたスロットに、現在の雪弥がいます。
  その話を絡めて見たかったのです。
  一度生んだキャラを消すことは、もう出来ません。
  生まれた以上、そのこの物語は始まっているのですから。
  幼い私の心で消してしまったけど、リルムのことは、忘れません。
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://yukiomipuniko.blog94.fc2.com/tb.php/132-213dfb6f
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。